反復着床不全・反復流産(不育症)解決への可能性
着床不全や流産を繰り返すという辛い経験をされている方々にとって、その原因を特定することは今後の治療方針を決める上で非常に重要です。
染色体検査はそのような方々への有効な解決策のひとつとして注目されています。
染色体検査の種類と意義
染色体検査には主に以下の方法があります
・夫婦の血液を用いた染色体異常の確認
- 構造異常などの原因を特定し、解決できる可能性があります
・流産胎児の組織検査
- これにより夫婦の染色体異常を推測できる可能性があります
・受精卵(胚盤胞の一部)の検査
- PGT-A、PGT-SRなどの手法により妊娠率の向上を目指します
染色体検査の方法
染色体検査の方法は様々あります
・染色体の数の異常
・染色体の構造の異常
・染色体の微細な欠損等の検査
おおまかに上記3つの検査方法があります。
染色体異常の発生頻度
染色体の異常は以下のような確率で発生するとされています
・精子では20%程
・卵子では30%程
・受精卵では40%程
・流産した胎児では60%程
あるとされており
年齢があがれば確率が上昇する傾向にあります。
不妊治療においては
受精卵に染色体異常があれば
ほとんどが着床不全か流産になります。
現在では日本でも
反復着床不全や反復流産の方に対して
受精卵の着床前診断が広くおこなわれるようになってきました。
検査方法の詳細
検査方法として、最初に用いられる標準的な染色体検査はG-bandingdです。
・G-banding(G分染法)
この検査は染色体上のバンド模様を観察し、染色体の数や構造の変化を調べます。
数的異常は、ダウン症候群等のトリソミー
構造異常は、欠失、転座などを
検出するのに役立ちます。
つまり、G-bandingは先天性疾患の診断や、不妊、不育、流産などの原因究明に役立つ重要な検査法です。
さらに詳細な検査が必要な場合は
FISH法かマイクロアレイ法があります。
これらの方法の順番は状況によって適切なものが変わります
・FISH法
G-banding法で異常が疑われた部位の確認や、特定の微細欠失症候群の診断をおこないます。
・マイクロアレイ法
検出困難な微小な染色体異常を高解像度で検出できます。
FISH法のように特定の領域に限定されず、ゲノム全体をスクリーニングできます。
様々な検査方法があり、それぞれ調べられる箇所が異なるため、検査によって分かることと分からないことがあります。場合によっては複数の検査を組み合わせて行うこともありますので、あらかじめご了承ください。
染色体異常自体を治療することはできませんが、検査結果は反復着床不全や反復流産の方への今後の治療方針を決める上で大いに役立ちます。
反復着床不全や不育症(反復流産)の原因を知りたい方、早く妊娠を希望される方は、ぜひご検討いただき、ご相談ください。