不妊症治療の専門医。タイミング法など自然周期から、人工授精・体外受精・顕微授精までの高度生殖医療。不妊症にお悩みの方、不妊治療のご相談は名古屋市南区の山口レディスクリニックへお気軽にどうぞ。

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不妊治療は流産が心配?安心できる時期は妊娠何週でしょうか

流産という言葉はあまり触れたくない話題かもしれませんが、
不妊治療を行う上で、期待させてしまうことばかりお伝えしても仕方ないことですから、不妊治療と正確に向き合っていただくためにもしっかりと現実をお伝えしておきます。

結論としては、
妊娠10週までに流産する場合がほとんどです。

妊娠10週とは、胎盤の形成がはじまり、胎児と子宮内の安定が認められる時期でもあります。

10週までは、体外受精ではホルモン補充が必要なため経過観察を継続して行い、11週以降は自然経過で出産まで経過観察を行います。

妊娠10週以降の流産は稀ですので、流産しないかどうかはこの10週までの期間でほぼ分かります。

流産が起こる可能性が高い週として
胎児心拍の見えない胎嚢のみの5~6週が最も多く
心拍が見えるようになる7~8週までが次に流産が多い週になります。

流産について出来ること
どうしても流産を無くすことはできず
甲状腺異常がある方は妊娠後もホルモン剤を継続していただき
自己抗体陽性の方は内服を継続していただくといった
治療は行っていますが医療的な限界はあります。

流産についての想い
当院は妊娠まで至らず悩める方々のための不妊治療を専門に行い
数多くの方を妊娠へと導いていますが
高度生殖医療の専門医として不妊治療を専門に行える施設という性質上、当院へ通う患者様は、卵巣機能の低下している不妊症の方や高齢妊娠の方も多いため、現実としてどれだけ努力したとしても、当クリニックでも残念ながら2割程度の方は流産してしまうといった悲しいケースを多く診ています。
(以前に出産・分娩を行っていた経験もあります)
少しでも流産を減らしたいと常に考えておりますが中々現実は難しい状況です。

流産の原因は
母体側の原因は不明なことが多く、検査しても原因追及が困難なことが多いのが実状です。原因の半分以上は胎児側の原因といわれ、胎児が元々産まれる力がないほど弱い染色体異常などがあるため、生命は宿ったが、成長する力がなく流産に至ると考えられています。

また流産した場合には、手術が必要となる場合と、
必要でない場合に分かれます。
手術は半数程が必要となります。

もし流産し手術した場合に、流産の原因を知りたいということであれば、別途費用がかかりますが赤ちゃんの染色体に異常があったかどうかの検査のみを行うことが可能です。

他には、流産の中でも反復流産や習慣性流産といい、妊娠後2回以上連続で流産されるような方は有償ですが検査をお勧めしております。

ただ母体原因が判明することは難しいのが実状ですので予めご理解いただければと思います。

最近では受精卵を戻す前に、
染色体を調べるPGT-A,PGT-SR,という方法が確立されました。
体外受精をして受精卵を移植する前に、受精卵を検査することで
染色体の異常がない胚を戻すことが可能となりますので
年齢に関わらず7割程の方が妊娠、流産率は1割程、
諸外国では盛んに行われています。
日本でも最近開始するようになりましたので
もしご興味ある方はご連絡ください。

PGT-Aについて
https://y-lc.net/pgt-a/

染色体異常による流産
高齢になるほど染色体異常の受精卵が増えていき
40歳以上では正常な人は3分の1以下
35歳〜40歳の人は2分の1以下
といったデータがあり
中等度〜高度の染色体が異常な方は妊娠に至らず
軽度〜中等度の人は妊娠しても流産してしまい
一部の軽度な染色体異常(13,18,21トリソミー等)は出産に至るケースがあります。