不妊症治療の専門医。タイミング法など自然周期から、人工授精・体外受精・顕微授精までの高度生殖医療。不妊症にお悩みの方、不妊治療のご相談は名古屋市南区の山口レディスクリニックへお気軽にどうぞ。

診療案内

子宮頚がんワクチン

子宮頸がんの発生と予防

子宮頸がんの95%以上はヒトパピローマ(HPV)というウイルスの感染が原因です。

HPVに感染してから子宮頸がんに移行するまでの期間は数年~数十年と考えられています。発がん性 HPVの中で特にHPV16型、HPV18型は前がん病変や子宮頸がんへ進行する頻度が高く、スピードも速いと言われています。子宮頸がんは、原因であるHPVに感染しないことによってがんにならないようにすること(1次予防)と、がん検診によるスクリーニングでがんを早期発見・早期治療し、結果的に子宮頸がんによる死亡を予防すること(2次予防)ができます。

子宮頸がんは、最も予防しやすいがんであり、がん予防の知識が大切となる病気です。

子宮頸がんの治療方法

前がん病変やごく初期の早期がんの段階で発見されれば、子宮頸部円錐切除術による子宮の温存も可能です。しかし円錐切除術はその後の妊娠における流産・早産のリスクを高めることや、子宮の入り口が細くなり閉じてしまう可能性などのリスクを伴い、将来の妊娠・出産に影響が出る可能性があります。

HPVワクチン

種類含まれている型ワクチン名国内販売
2価16型、18型サーバリックス2009年12月
4価16型、18型+6型、11型ガーダシル2011年8月
小学6年生〜高校1年生は公費負担で無料です。
9価16型、18型+6型、11型
+31型、33型、45型、52型、58型
シルガード92021年1月

2023年4月よりガーダシル、シルガード9が
小学6年生から高校1年生の女性は公費となりました。
ガーダシルは3回、シルガード9は2回or3回の接種となります。
公費負担の期間を逃してしまった平成9年生まれまでの方は、キャチアップ対象として公費による接種が可能です。(ガーダシル、シルガード9ともに3回接種)
※男性の方は年齢に関わらず自費となります。
(男性にも肛門がん、中咽頭がん等の予防に効果があるとされています)

現在世界の 80 か国以上において、HPVワクチンの国の公費助成によるプログラムが実施されています。海外ではすでに9つの型のHPV感染を予防し、90%以上の子宮頸がんを予防すると推定されている9価ワクチンが公費接種されており、日本では2020年7月21日に厚生労働省より製造販売が承認されましたが、まだ定期接種ではなく、日本での任意接種(自費で希望者が接種すること)がいつから可能になるかは不明です。接種者の副反応の全例調査(2020年 12月~2021年6月)がされており、国の正式なワクチンプログラム(定期接種)とするかについて、2020年8月より国の検討が開始されていますが、現時点では実現に時間を要すると考えられています。

HPVは200種類以上の遺伝子型(タイプ)がありハイリスク(16,18,31,33,35,39,45,51, 52, 56,58, 66,68) ローリスクでいぼなどの原因 (6, 11,42,43,44)が挙げられる。

料金

投与は3回必要となります。
1回目の2ヶ月あとに2回目。
2回目の4ヶ月あとに3回目とされいます。
ただし、個人の事情により1ヶ月前後の投与時期の変更は可能です。

ガーダシル 3回分一括払いのみ50,000円
シルガード 3回分一括払いのみ80,000円
*注射薬は返品することができませんので、キャンセルができませんことをご了承ください。

*肛門ガンや陰茎ガン等にも予防効果があるとされていますので、自費になりますが男性にも投与することができます。

*子宮ガンと診断された方は投与することができません。
(しかし、子宮頸部異型上皮(異形成)の方は投与することができます。)

HPVワクチンの安全性

可能性のある重大な副反応(9価 HPV ワクチンまたは4価 HPV ワクチンの自発報告で認められた接種が関連する可能性が高い症状)として、過敏症反応(アナフィラキシー、気管支痙攣、蕁麻疹等)、ギラン・バレー症候群、血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が挙げられていますが、発生数そのものが少ないため、その発生頻度は不明です。

頻度の高い副反応としては注射部位の疼痛・腫脹・紅斑が挙げられます。

4価 HPVワクチンでは接種後5日以内の注射部位の副反応が 84.9%(7078 症例中 6012 症例)であったのに対し、9価 HPV ワクチンでは 90.7% (7071 症例中 6414 症例)です。

特に疼痛は4価 HPVワクチンでは83.5%(7078 症例中5910 症例)であったのに対し、9価 HPVワクチンでは 89.9%(7071 症例中6356症例)です。

登録された日本人においては、注射部位の副反応が81.9%(127 症例中 104症例)、特に疼痛は81.9%(127 症例中 104 症例)であり、外国人と比べて高率ではありません。

9価HPVワクチンの承認について

「9価HPVワクチン」は、HPV6/11/16/18/31/33/45/52/58の9つの型の感染を予防しますが、これらの型のうち HPV16/18/31/33/45/52/58の7つの型は、子宮頸がんのみならず、女性の膣がんや男女ともに外陰がん、肛門がん、中咽頭がんなどの原因となります。HPV6・11型は男女の生殖器粘膜にできる良性のイボである尖圭コンジローマの原因の約90%を占めるとされています。

男性は中咽頭がん、陰茎がん、肛門がん等の集団免疫強化のためとされています。
※男性にも自費で接種することが可能です。

2価もしくは4価接種後に9個 HPVワクチンの追加接種が必要か?

既にHPVワクチン(2価もしくは4価)接種後に9価 HPVワクチンの追加接種をすることについては、重篤な副反応の報告はないもののすでに2価もしくは4価で HPV ワクチン接種が終了している場合の追加接種については、すでに一番頻度の多い HPV 16/18型に対する免疫は獲得されており、5価が追加になることの効果は限定的であるとされています。

2価もしくは4価ワクチン接種が完了していない場合については、なるべく同一薬で接種を完了することが望ましいが、9価に切り替えて完了することも可能とも追記されています。また日本の9価HPVワクチンの添付文章でも、異なる種類のワクチンを交互接種した場合の有効性、安全性については十分なデータがないため、原則は同じワクチンで3回の接種を完了することとされています。

9価 HPVワクチン普及を待って、定期接種の2価と4価ワクチン接種を逃してしまうことがないように定期接種対象者と保護者への情報提供は極めて重要です。

子宮頸がんと子宮体癌の原因の違い

子宮頸がんの原因は主にHPVであるのに対し、子宮体がんの原因の多くはエストロゲンに関与するとされています。また子宮体がん(1型)は肥満、高血圧、糖尿病、不妊、未産婦であることも原因となることがあるようです。