甲状腺ホルモンと不妊(不育症)の関連について
甲状腺とは
甲状腺は前部頸部にある小さな組織で全身の代謝等に関わるホルモンを分泌しています。
甲状腺と不妊の関係性
いっけん不妊と関連が無いと考えられがちですが、不妊治療中の患者さんの1割程度に甲状腺ホルモンの分泌異常が見られます。
甲状腺ホルモンが高値の場合はバセドー病と呼ばれ、動悸、倦怠感等の症状が出現し必ず治療が必要になります。
甲状腺ホルモンが低値の場合は甲状腺機能低下症と呼ばれ、体力低下や全身の倦怠感が出現し、治療が必要になります。
検査について
まずは診察をおこない、明らかに症状が出ていて、甲状腺疾患の可能性があると診断した場合は保険適応の検査になりますが、症状の無い方で検査を希望される場合は自費の検査になります。
※保険適応の検査、自費の検査どちらになっても治療を要する場合は、保険適応の治療になります。
学会では不妊治療の開始時にするスクリーニング検査として推奨されていますので、当院では学会のガイドラインに沿って皆様に採血の検査をお勧めしています。
治療方法について
検査結果により、甲状腺ホルモン(FT3、FT4)に異常がある場合は数値に応じた治療が必用になります。
治療は内服薬の調整によっておこない抗体が陰性になるまで治療が必用になります。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)のみ異常があり、甲状腺ホルモン(FT3、FT4)は正常値の方は、潜在性の甲状腺疾患と呼ばれ症状はありませんが不妊症、不育症の方は治療する必要があります。
治療は内服薬によっておこない、妊娠が終結するまで治療を続ける必要があります。
治療は妊娠終了まで
甲状腺ホルモンは不妊のみではなく、流産の原因等にもなるため、数値が正常になったとしても妊娠終了まで内服治療をお勧めします。