OHSSの新しい治療選択肢について
保険適用拡大で安全性が向上
OHSS(卵巣過剰刺激症候群)の治療において、新しい薬剤の保険適用が認められ、より安全で効果的な治療が可能になりました。今回はその詳細についてご説明いたします。
カバサール(カベルゴリン)の保険適用開始
新たな適応と効果
従来、週1回の内服で高プロラクチン血症の治療に使用されていたカバサールが、OHSSの治療でも保険適用となりました。
カバサールはVEGF(血管内皮増殖因子)を抑制する作用により、血管透過性の増加を防ぎ、腹水の貯留を軽減します。OHSS治療では連日投与が可能となり、より迅速な症状改善が期待されています。
全胚凍結時の予防選択肢
ガニレスト(ガニレリクス)
GnRHアンタゴニストであるガニレストも、全胚凍結を行う場合のOHSS予防において保険適用が拡大されました。カバサールとの併用により、より効果的な予防が可能です。
レトロゾール(フェマーラ)
2020年4月から不妊治療で保険適用されているレトロゾールも、OHSS予防に重要な役割を果たします。ガニレストと同様にエストロゲンを低下させ、採卵後5~6日目に月経を誘発することで、OHSSの重症化を防ぎます。
革新的な3剤併用療法
最新の治療では、採卵直後から以下の3つの薬剤を5日間併用します
・レトロゾール(フェマーラ)
・カベルゴリン(カバサール)
・GnRHアンタゴニスト(ガニレスト)
この組み合わせにより、OHSSの発生をほぼ無くすことができるとの報告があります。
患者様へのメリット
経済的負担の軽減
保険適用の拡大により、従来高額だったOHSS治療費が大幅に軽減され、より多くの患者様が適切な治療を受けられるようになりました。
安全性の向上
新しい治療選択肢により、OHSSの「予防」と「早期改善」が可能となり、不妊治療の安全性が大幅に向上しています。
OHSS治療における保険適用の拡大はとても喜ばしいことです。
治療が必要になった方はご来院時にご相談ください。