不妊症治療の専門医。タイミング法など自然周期から、人工授精・体外受精・顕微授精までの高度生殖医療。不妊症にお悩みの方、不妊治療のご相談は名古屋市南区の山口レディスクリニックへお気軽にどうぞ。

ブログ

体外受精・反復着床不全の全国的な最新治療情報

日本受精着床学会に久しぶりにリアル会場で参加してきました。

体外受精について全国的にどのようなことが標準になっているかお伝えしたいと思います。

今回の目立った演題としては、
「反復着床不全に対しての原因検索に関する手法」の発表がありました。

全国的なデータによりますと、着床不全の原因が血液中のビタミンDが低い傾向があることと、Th1/Th2の免疫応答に異常があることが報告されていました。

そのため、以前から注目されていたTORIO検査に加えて
改めてビタミンD、Th1/Th2の検査を行うことが反復着床不全に対するスタンダードな方法となってきているとのことでした。

この流れは、2022年4月の保険適応による影響もあります。
体外受精に関する保険適応は年齢によって異なりますが、
移植回数が3回か6回と制限されていますので、
1回ごとに良好胚のみを戻す方針にし不良胚を破棄する施設が増えています。

つまり、採卵よりも1回の移植を重要視されるようになってきましたので、
着床率を上げるために、母体の着床環境を整えた上で移植を施行する流れになっています。

・母体の全身環境に関しては採血によるビタミンD、Th1/Th2の検査
・直接的な子宮内膜に関してはTORIO検査

を行うということです。

当院としても体外受精を行われる方は
ビタミンD、Th1/Th2を標準検査にしていこうと思います。

TORIO検査に関しましては移植を2回ほどしても妊娠されない方を対象に
お勧めしていきたいと思います。

移植に関する方針については、先程ご紹介したように全国的には
良好胚のみを戻す方針にし不良胚を破棄する施設が増えていますが、
当院としては、患者様の意向を確認した上で個々に対応していきたいと思います。

また、学会に行ったことで分かったこととして
子宮内膜の乳酸菌低値の方に関する治療について新しい発見がありました。

これまでTORIO検査を行って乳酸菌値の低い方に対しては海外の膣錠をご自身で購入していただいていましたが、今回、日本の企業から内服の乳酸菌も販売されていることが分かりましたので引き続き情報収集をしていきたいと思います。