不妊症治療の専門医。タイミング法など自然周期から、人工授精・体外受精・顕微授精までの高度生殖医療。不妊症にお悩みの方、不妊治療のご相談は名古屋市南区の山口レディスクリニックへお気軽にどうぞ。

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不妊治療助成金の年齢制限は42歳までと期限があります

不妊治療の助成金制度とは

不妊治療を受ける際に治療費の一部を自治体が負担する制度。
対象年齢は42歳までと年齢制限があるのをご存知でしょうか?
表記は43歳未満ですが、意味は43歳は受けられないということです。

もちろん不妊治療自体は対象年齢を過ぎても受けることが可能です。
助成金の需給を受けることが出来なくなるということです。

なぜ42歳までか。
決め手は出産率の観点から、年齢別統計から算出された数字でしょうか。
やはり個人差はあれどその年齢あたりからの出産率はかなり厳しいものです。

あくまで現在のところは42歳。
将来40歳までなど早まる可能性は十分にありますのでお気をつけください。

高齢な人こそ助成が必要なのになぜ年齢制限?

また、高齢で出産率が下がる。
その出産率をあげるために助成や不妊治療を行なっているのでは?
そう思われるかもしれませんね。
たしかにそうですが、年齢を治療で改善することは難しいでしょう。

お伝えしづらいですが、人間の能力の限界。
とも言い換えられるかもしれません。
簡単にいえば、年齢による妊娠能力の衰えには誰も勝てません。
それはどんなに健康であっても。不妊治療にとって大きな障壁となります。

不妊治療はたしかに発達してきましたが、それでも限界はあります。
例えるならば、がん治療がもし仮に完全になっても、自然死を避けることができないように。
わたくしたち医療人がどれほど努力しても超えることのない壁でしょう。

高齢での問題、妊娠はできても出産が難しい?

またさきほどの出産率について。
「妊娠 = 出産」ではありません。
これは誤解されがちなのでしっかり説明します。

妊娠すれば安心かといわれればそうではありません。
出産までの間に流産をする可能性を秘めています。
これは高齢になるにつれ増加する傾向にあります。
仮に妊娠したとしても流産する確率が上がり出産まで至らないということです。

そして不妊治療が必要な方の大半は、まず妊娠に至るまでの障壁が多いのも事実です。
これは年齢問わず、さまざまな原因があります。

不妊症は高齢だけでなく、全年齢の方がなる可能性がある

若いから必ず妊娠する。ということでもなく。
不妊治療は高齢な方だけのものではありません。

不妊治療の基本は妊娠しない原因を取り除くことが肝となります。
そして統計データから通常では妊娠が難しいケース。
こういった場合において人工授精を何度も続けられることがあります。

人工授精は高度生殖医療ではなく、あくまで自然妊娠の補助的なものです。
ですから、自然な妊娠が難しい症状では何度行なっても無駄になってしまいます。

高齢の場合における一番の課題は「時間」

高齢な場合、妊娠にトライできる期間が正直あまり残されていません。
35歳程ならまだ余裕はありますが、40歳前後はもうあまり時間がありません。
統計的には43歳を過ぎたあたりから出産まで至ることが極めて困難になります。
脅かすような表現で心苦しいですが、事実として受け止めねばなりません。

他に1人目を出産した時は若くても、2人以上欲しいなどの場合。
育児が一段落して再度妊娠を望む頃には高齢にということも珍しくありません。
こういった様々なことを考慮にいれる必要が出てくるのが実状です。

よって不妊治療自体もいつまでも行い効果が出せるものではありません。
年齢という壁にはどのように頑張っても難しいといえるでしょう。
ですから、治療自体が遅くなればなるほど不利になるといえます。

年齢によっても治療の方法や優先順位は異なる

治療の方法に関しても、若い方と高齢の方では優先順位が違います。
若い方であれば、不妊の原因を取り除く治療に専念できるかと思います。
一方高齢の方だと、時間の制約というものを意識することが最優先となります。

つまり、高齢では不妊の原因を取り除くことよりも、現在の状態でいかに妊娠するか。
分かりやすくいえば、現在ある限りある卵子を有効活用する方法です。
具体的には体外受精、顕微授精といった手段を選択する大きな決め手となります。

また何度もタイミングまたは人工授精を行ったが妊娠しなかった。
このようなケースにおいてもステップアップすることを強くおすすめします。
なぜなら、過去の統計的なデータにおいて続けても妊娠するのが極めて難しいからです。

もちろんできるならクリニックとしても自然に妊娠できるのであれば理想でしょう。
しかしながらステップアップしたとしても妊娠するかは保証できない。
ただ、そのまま人工授精なり続けていても現実的に望みはとても薄い。
そんなジレンマに私たちも苦しい想いで挟まれることが多々あります。

現場で感じる妊娠・不妊に対する認識のズレ

そして現場で一番思うことが、妊娠に対する正しい知識が浸透していない。
もっと早く知っておいてもらえたらこんなことにはならなかったのに。
来院される方の相談を当院女性スタッフが受けることも多々あり思うことです。
もちろんしっかり認識されている方もいらっしゃいますが。

ですからせめてもの想いとして、患者さんの治療の負担をいかに軽くできるか。
そのためには治療自体を長期化させずにいかに短く治療を終えられるか。
こういったことを日々考えながら治療に望んでいます。

必要な方にはステップアップをおすすめすることがあります。
もちろんさまざまな事情によりステップアップできない理由もあるでしょう。
ただこういった理由でおすすめしているということを知っていただけたら幸いです。

高齢の方むけの治療方法の肝は「短期間で結果に繋げる」

40歳以上の方の治療方法は通常とは異なる高齢向けの専用の治療方法があります。
例えば、ランダムスタート法、短周期複数採卵法。
これらはそれぞれに高齢の方に向けた治療方法です。
一番の特徴は、短期間でいかに結果に繋げるかという考え方が根底にあります。

それぞれの方法の詳細は下記に説明ページへのリンクを掲載します。
一度ぜひ目を通していただけると幸いです。

また助成金の申請方法に関しては以下のページをご参照ください。
当院に通われる方の多い近隣地域の自治体のリンクを掲載しております。
それぞれお住まいの自治体により制度が異なります。
詳しくは各自治体までお問合せください。

そして当院ではステップアップを迷われている方。
またはじめて体外受精にチャレンジしてみようという方への説明会を開催しています。
参加費用は無料で行っておりますので、ぜひお気軽にご参加ください。

何からはじめたら良いかわからないという方。
まずは説明を聞いてみることからはじめても良いかもしれません。
正しい知識を知ってから、確実に焦らずに一歩ずつ進んでいきましょう。

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