不妊症の原因や種類、1回の診療時間は?
不妊症とは何か?
A. 夫婦生活を適度(個人差がある、週1、週2)あるにも関わらず、1年間妊娠できない状態のことです。
最近では女性の社会進出に伴い、晩婚化も手伝って、約15~20%の夫婦が不妊症だと考えられています。
ちなみに、不妊の定義は以前は「2年」でした。
現在では「1年」となっています。
不妊症の人は全国でどれだけいる?
A. 不妊の原因となる要素をかかえているカップルの割合は、男女合わせて15~20%と全国統計がでています。
意外と多くのご夫婦が不妊症で悩まれ、何かしらの不妊治療を行われていることが珍しくなくなってきたのが実状です。
ちなみに不妊症というのは、あくまで結婚してから子どもを望む方を対象です。
独身の方は不妊症とは言いません。
不妊症の原因は?
A. 一番の原因は老化、卵巣機能低下です。
年齢を重ねれば卵巣が老化していきます。
おおよそ34歳頃から卵巣の老化は始まると言われています。
自覚症状がなく感じずらいでしょうか。
また一年毎に同じ治療をしても、妊娠率がどんどん低下するという研究データも出ています。
やはり34歳頃を超えて子どもが出来ない方は、少し急がれた方が良いでしょうか。
もちろん34歳以前で明らかな不妊症の原因がなければ、まだ急ぐ必要はないと思います。
まずは女性の年齢が、不妊症の原因として優勢になってきますね。
意外と性病も多い
次に、意外でしょうが性病でしょうか。
今は昔と違い若い方を中心に、「性の多様化」が起きています。
皆が皆そうではないと思いますが、昔は一対一の関係。
最初に付き合った人と最後まで添い遂げることが日本人の文化でしたが、今は欧米主体の文化になってきています。「多対多の関係」という言い方をするのですけどね。結婚するまでに数人の方と付き合ったりだとか、社会的に許容されていますし、「付き合った段階で性行為をしてはいけない」とは誰も思っていませんよね。
ですから、現代の日本では知らない間にSTD(性病、性感染症)、性病を持っている人も意外に多いのです。
クラミジアは自覚症状もほとんどありませんから、クラミジアやSTDにかかって、卵管が炎症を起こして、卵管性不妊症になったりとかそういう方もいらっしゃいます。日ごろからSTDにならないように気をつけてもらうなど、自分で予防を心がけていきましょう。
子宮内膜症
あと予防が難しい不妊原因としては、子宮内膜症。
子宮内膜症の原因は現代医学でまだよく解明されていないのが実状です。
少子化による出産回数の減少が原因のひとつかもしれません。
例えば50年以上前の日本。
出産する人数は、5人とか数人産んでいました。
妊娠すると生理が止まり、母乳で育てます。
すると、2年間生理がこない。
そして5人産むということは10年間生理がない時期がある。
現代は初経が10歳くらい、閉経が50歳くらい。昔はもっと遅かったので、例えば15歳で初経があって、45歳で閉経があると、30 年間のうち10年間は生理が無いのです。
だから昔は極端な話、20年間しか生理がなかったのが、今、一人も子どもを産まないとすると、10歳で生理がきて 50歳で生理が終わる。
とすると40年間生理がある。つまり生理の回数が昔より2倍に増えているのです。
生理が増える事によって、それがひとつの原因だろうと考えられているのです。
子宮内膜症とか子宮筋腫など、女性特有の病気が明らかに昔より増加しているのです。
また性の低年齢化により、HPVというウ イルスに感染しやすくなり、子宮頸癌になりやすいことがわかっています。
そういった性経験の早い方ほど、20歳くらいから1年間に1度定期的に産婦人科を 受診したほうが良いでしょう。
子宮頸癌の検査は現在は20歳から無料で検診ができます。
子宮内膜症という病気はないか、自分は何も無いだろうと自分で決めてしまうのではなく、検査をきちんと受けるなどして、あらかじめ不妊症のリスク因子なるものは排除しておくということが大切です。
不妊症の種類にはどんなものがある?
A. 原因は多岐に渡りますが、代表的なものをあげます。
・排卵障害
・ピックアップ障害(卵管因子)
・受精障害
・着床障害
など、妊娠に至るまでのそれぞれの過程の障害です。
排卵障害
月経不順の人は排卵障害といって、排卵が起きていない人、もしくは排卵があってもすごく遅い人とかはどうしても不妊の原因になりますね。
ですから排卵の問題がひとつですね。
どうして起こるかというと、女性ホルモンの分泌が少なかったりバランスが悪かったりするということですね。
だからホルモンの分泌がどうして悪いのかと言われてもそれは体質によるといったところでしょうか。
ピックアップ障害(卵管因子)
女性の性器というのは、主に子宮と卵管と卵巣ですが、皆さんあまりご存知ないのは、排卵というのはお腹に卵が一個ぽつんとこぼれ、それを卵管がお腹の中にこぼれた卵を拾い上げるんですね。イメージ的にはクレーンのように。
ただ、卵管に原因不明の炎症や損傷があったり、性病にかかり卵管炎の場合もあります。
そして、子宮筋腫、子宮内膜症があってピックアップ(拾い上げる)を阻害するということもあり、そういったピックアップ障害というのがあります。ピックアップ障害の原因としては、卵管に卵を取り入れないような邪魔なものがあることや子宮筋腫とか子宮内膜症があること。それから卵管自体が炎症 を起こし、卵管はあるが機能をしていないというケースですね。卵管の炎症はSTDだけではなく、原因不明の炎症もあります。
受精障害
排卵して二日か三日目に精子と卵子が卵管の中で出会い受精する時、女性の卵管が受精する場所を提供するので、ピックアッ プできていても、卵管の環境が悪い、卵管に炎症があるですとかそういった場合に、受精の場所としては不適切な場合があったりします。もしくは受精障害とい うのですが、精子の数が少なかったり運動率が悪かったりして、受精能力がないということもありますね。受精障害の原因は男性側も女性側、両方あって、卵管 での受精がうまくいかないケース。それを一般的に受精障害といいます。さきほどお伝えしたのはピックアップ障害といって異なります。よってそれぞれ、排卵 障害、ピックアップ障害、受精障害ですね。
着床障害
これはあくまで推論ですが。卵管で2日目か3日目に受精した場合は、排卵して5日か6日目に、受精卵が自分で子宮の方に移動して、子宮に着 床を起こすと言われています。この過程に原因があることを着床障害といって、子宮の着床する場所が炎症を起こしていることや、子宮筋腫とか子宮内膜症という病気があること。あとごく稀ですがポリープなどの特別な病気があると、着床障害の原因になりやすく、結構のところ原因不明なことが多いです。なぜなら、 女性障害、着床障害に関しては卵や精子が顕微鏡でしか見えないほど小さいもので、お腹の中の見えない部分で起こっていることですからね。患者さんに質問さ れることで、「なんで私は今回ちゃんと排卵してるのに妊娠しなかったんですか?」とよく聞かれるのですが、妊娠への経路は、まず排卵が起きる事が絶対条件 で、その状態で排卵に合わせて性行為もつことが必要ですよね。その次に、排卵された卵がピックアップされると、卵管に卵が到達してそこで受精を起こす。受 精を起こした卵が子宮で着床するためには、それだけの過程が必要になるものですから、どこかひとつでもうまくいかなければ妊娠は成立しません。ですから、 可能性としてこれら経路の中にどこかが問題があるということまでしかお伝え出来ないのです。
不妊症の解明というのは、原因がはっきりしているものと、原因不明不妊といってはっきりしていない場合には、現代医学を持ってしてでもなかなか難しいところではあります。
不妊治療の基本は、不妊の原因となるものを改善していくこと。
治療をするにも原因の特定が最優先となります。
しっかり不妊検査などを受診をされることをおすすめします。
1回あたりの診療時間はどれくらい?
A. 診療時間は、基本的に数分程度で済みます。
多いのは超音波を見てから薬を出したり、注射を打つ程度の方。
その程度でしたら数分程度で済みます。
それに加えて例えば、
・医院よりお話をすることがある場合
・さらに詳しくお聞きになりたいことがある場合
という感じでしょうか。
また当院でもインフォームドコンセントを徹底しております。
それは検査など高額な治療などをする場合の説明のことです。
例えば、前もって○○目的で検査して、保険でお金がいくら程度必要かなどです。
当院ではしっかり説明できる専門スタッフがドクターに代わり説明を実施しております。
その分ドクターは少しでも多くの患者さんを診られるよう、外来が滞らないように配慮しております。
ですので、そこには10分、15分と時間がかかってでもしっかりとご説明をする。
ご本人様がご納得出来ることを目的として説明を差し上げていますのでご安心下さい。
決定に迷うことがあるようであれば、特にその場で決める必要はありません。
あせらず次回ご来院時にご返答をいただいても結構です。