不妊症の治療方法はどんな感じですか?
A. 原因がある方と無い方によって大きく分類されます
原因がある方は、子宮筋腫や子宮内膜症となど明らかに分かる原因が、女性側にある場合、まず子宮筋腫とか子宮内膜症を手術で治療する、取り除くなどですね。
大きさや位置にもより絶対取り除く必要があるということではなく、まずそれがあるということを考えて頂く。不妊原因を取り除くかどうかということが治療法になりますね。
次に、男性不妊症がある方は、精子が少ないとか運動率がすごく悪い方とかは、基本的に自然妊娠は難しいので、程度に応じてすぐに人工授精や体外受精を考える必要があります。
あと、卵管が詰まっている方に対しては、以前は手術をして卵管を広げるなどの手術もありましたが、今現代はそのような手術は実 際ほとんど行われなくなり、卵管因子といって「卵管が詰まった=体外受精」という時代の流れになっていますね。ですからまず原因がある場合は、原因を除去 する手術をし、女性側がそれでもどうにもならない場合、男性側の男性不妊症の改善は難しいです。原因がどうにもならない場合など、卵管の開口処置というの は極めて難しい手術となりますので、いきなり高度な治療になっていくことになりますね。
あとは、何も原因の無い人でも、あくまで外来レベルで検査できることというのは全てが分かるわけではなく、受精や着床などまでは分からないのです。外来で分かる検査とは、例えば排卵をきちんとしているか、卵管が開通しているか、子宮内にポリープや筋腫とか内膜症が無いかといったことです。それらの検査をしても何にも異常のない方を原因不明不妊や、機能性不妊といいますが、おおよそ30歳前後であれば半年くらいは普通にタイミング法をまず行います。それでも駄目な場合は、治療ということになってきます。
不妊治療には大きく分けて、一般不妊症、人工授精、体外受精、この3つの段階に分かれます。
一般不妊症というのは基本的には排卵に合わせてタイミ ングをとって性交渉を自然にして、なるべく自然に近い形で妊娠をするということをいいます。
普通に妊娠ができない方にその方法を行った場合、妊娠率が上 がっていくわけではないものですから、ホルモン剤などを用いて妊娠しやすい環境をつくった上でタイミング法を行います。
そして女性の年齢にもよりますが、 35歳未満の若い方だと半年程度行ったり、35歳以上でそんなに期間的に余裕が無い場合は3ヶ月程度行います。
ですから、おおよそ3ヶ月~半年くらいがタ イミング法を行う目安です。ホルモン剤を用いた治療法をどの程度の期間行うかは、年齢など様々な状態で決めるということですね。
それがうまくいかなかった 場合、次に人工授精へと進みます。
人工授精は、体外受精と混同されてる方が多いのですが、マスターベーションで採取した旦那さんの精子を円心分離して、少し処理を加えた後、ある程度 元気の良いもののみを子宮の中に注入するという方法が人工授精です。
その後、卵管で受精すること、子宮の中で着床することは自然妊娠と全く一緒なので、すごく特殊な事をしているわけではないのです。
人工授精って聞くと、あたかもすごく複雑な治療をしているようにも聞こえますが、自然の妊娠を手助けしてあげる程度の治療、と私たちは認識しています。
ですから人工授精というのは、ものすごく妊娠率が高いというわけではなく、一般不妊症はだいたい1回あたりのタイミングを持ってもらって妊娠する可能性は5、6%程度。それで3ヶ月~6ヶ月行っておよそ2、3割の方が一般治療法で妊娠されています。
体外受精の場合でも、人工授精を行ってうまくいかなかった場合に、体外受精へ進んでいくものなので、1回あたりの妊娠率というのはせいぜ い7%程度で、それを3回~5回程度行い、妊娠する確率は2、3割程度です。
ですから、一般不妊症も人工授精も行う回数、方法にもよりまずが、数%~7 %程度で、1回あたりの妊娠率やトータルの妊娠率でも何回行うかにもよりますね。
原因とか女性の年齢にもより、妊娠できる確率は2、3割です。ですから絶対妊娠できるわけではない、あくまで目安にとらえていただければと思います。
一般不妊症まではほとんどが保険適用が可能ですが、人工授精からは保険診療ができなくなり、自費になるため値段が少し高額になっていきます。
一般的に機能性不妊で35歳未満の方だと、5回程度行うをおすすめしています。
35歳~38歳くらいで特に原因の無い方だと、3回程度が目安ですね。
38歳以 上の方は、他に原因があるかやどの程度急いでみえるかなどにより、人工授精を行わず、いきなり体外受精というのも選択肢です。
人工授精を行ってからということでは必ずしもありません。38歳以上の方に、人工授精を行っても妊娠率はどんどん低下していきます。
そして40歳の方に、人工授精はあまりおすすめはしておりません。やはり極めて妊娠率が低いためです。