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胎児の先天異常検査についての詳細(学会 最新情報)

12月におこなわれた
日本産婦人科遺伝診療学会で
特に印象的だったものは
胎児の先天異常の検査方法である
非侵襲的な検査の以下2つです

①NT(Nuchal Translucency)とは?
超音波による検査です。
肥厚があれば、胎児異常を疑い
その後に詳細な検査を行うかを考慮します。
妊娠11〜13周に有無を確認することを推奨すると発表されていました。

②NIPT(非侵襲性出生前遺伝学的検査)
母体血の採取による検査です。
・厚生省の基準により13,18,21トリソミーのみ
妊娠すると、母体血中に1割程度
胎児の染色体が出現すると言われていますので
母体血を採血することによって胎児の染色体異常を調べます。
時期は妊娠10周以降に行うことを推奨すると発表されていました。

今回の学会の発表で
上記のように的確な周数が示されましたので
検査について気にされているかたは
ご参考にされると良いと思います。

<NIPTに関して補足>
国内では10年ほど前より非認可施設で採血のみが行われるようになり
カウンセリングを行わなかったり
妊娠10周以前の不適切な採血結果
にもとづいて中絶を選択される方が散見される事態の発生を
厚生局が問題視し
日本医学会が認定施設という制度を作りました。

その結果として
カウンセリング(十分な検査情報の提供)が必須となりましたので、
もしこれまでにカウンセリングをせずに検査された方は
改めて認可施設で妊娠10週以降に再検査することをお勧めします。

十分な検査情報の提供とは
おおまかに
・血液検査による正診率は95%前後であること
・染色体異常はほとんど流産すること
 (染色位異常は卵子で25%程、精子で15%程、
 受精卵45%程あるとされています)
・染色体異常で生まれる確率は1%未満
・出産できる常染色体異常は13、18、21トリソミー

検査時期の一例
9〜10周 カウンセリングを受ける
10〜11周 NIPTによる採血
12〜14周 NIPTの結果を知る
14〜15周 カウンセリングを受ける
16周ごろ 羊水検査を受ける
18〜19周 羊水検査を結果を知る
19〜20周 カウンセリングを受ける
20〜21周 出産の有無を決断する

NIPT検査の目的はあくまで中絶を前提にした検査ではなく
出生前に胎児の先天性胎児異常を把握した上で
出産後にスムーズに医学的治療と
家族を含めた社会的支援をおこなうための準備をするために
おこなうことが目的とすると発表されていました。

当院では、
妊娠前、妊娠後、出産後
どの段階でも遺伝専門医によるカウンセリングのみを行うことが可能ですので
必要な方はご相談ください(電話予約が必須です)

また、
現在は出生前だけではなく、妊娠前に受精卵の段階で
染色体を検査する着床前診断(PGT-A,SR等)もありますので
こちらも気になる方はご相談ください。