不妊症治療の専門医。タイミング法など自然周期から、人工授精・体外受精・顕微授精までの高度生殖医療。不妊症にお悩みの方、不妊治療のご相談は名古屋市南区の山口レディスクリニックへお気軽にどうぞ。

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気をつけていただきたい移植、採卵、凍結の保険適用について

貯卵についてよくご質問がありますので以下のようにお答えいたします

2022年3月までは
自費診療の方は貯卵して良好胚が得られた段階で移植することが可能でしたが

2022年4月からの保険適用分に関しては貯卵が認められなくなりました

*貯卵=良好胚が得られるまで不良胚を含む胚を凍結しておくこと

保険適用当初は適用範囲が不明確で社会保険の査定が甘かった部分もあり、多くの施設で貯卵をする傾向がありましたが、2023年頃より保険の査定が厳しくなり、さらに2024年6月の改定により厳格化されると予想されています

気を付けるポイントとしては
<保険適用による採卵、移植の場合>
必ず凍結した胚を使い切らないと採卵することができませんので
高齢などの事情により
念のため不良胚の凍結をしておき、次の採卵へ移ることはできません
凍結した胚は必ず移植しなければならなくなりますので
保険適用の移植回数制限の回数をカウントすることにもなります
*不良胚を破棄する選択はできます

そのため保険適用内で治療の完結を考えられている方は
不良胚を凍結することを注意しなければなりません

もし、一部自費治療も選択肢として考えられるのであれば
以下の方法も可能になります

一例:
①保険適用で採卵
②保険適用で凍結(不良胚を貯卵)
③移植せず自費で採卵
④自費で凍結(良好胚)
⑤自費で良好胚を移植

上記で妊娠できなかった場合(妊娠した場合も可能)
⑥保険適用で採卵した不良胚を保険適用で移植

保険適用前の時代では
良い胚を移植して妊娠率の向上を目指すために
貯卵がおこなわれていました
特に40歳以上の方は
分割期胚のグレード1,2、胚盤胞不良胚なども凍結していました

保険適用にこだわり過ぎずに、自費診療のこともお考えになられた方が妊娠の可能性は上がりますので、妊娠率向上を目指してご検討ください