RSウイルスワクチン(アブリスボ)妊婦向け接種ガイド
z2026年4月から定期接種スタート【名古屋市】
最終更新:2026年2月25日|2026年4月の定期接種化情報に対応
この記事でわかること
- RSウイルスワクチン(アブリスボ)の仕組みと、赤ちゃんへの予防効果
- 2026年4月からの定期接種化で変わること(費用が原則無料に)
- 接種の推奨時期(妊娠28週〜36週)と、現在妊娠中の方の対応
- 名古屋市における接種の流れ・費用・対象条件
- 副反応やリスクに関する正確な情報
RSウイルスワクチン原則無料について
妊娠中、おなかの赤ちゃんのために「できることは何でもしたい」——そうお感じになるのは、とても自然なことです。
RSウイルス(RSV)は、生後6か月未満の赤ちゃんが感染すると肺炎や細気管支炎を引き起こし、入院が必要になることもある感染症です。これまで有効な予防手段が限られていましたが、妊娠中のお母さんがワクチンを接種することで、胎盤を通じて赤ちゃんに抗体を届けられる「母子免疫ワクチン」が登場しました。
そしていよいよ、2026年4月1日から、このRSウイルスワクチン(アブリスボ)が定期接種となり、原則公費負担(無料)で受けられるようになります。名古屋市にお住まいの妊婦さんにとっても、大きな朗報です。
この記事では、RSウイルスワクチンの効果や接種時期、費用、注意点について、わかりやすくご説明いたします。
RSウイルス(RSV)感染症とは?
赤ちゃんにとってなぜ怖いの?
RSウイルス感染症とは、RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)による急性の呼吸器感染症です。大人や年長のお子さまでは「少し長引く風邪」程度で済むことが多いのですが、生後6か月未満の赤ちゃんが感染すると、細気管支炎や肺炎に進行し、入院治療が必要になる場合があります。
生後1歳までに約半数以上、2歳までにほぼ100%のお子さまが少なくとも一度はRSウイルスに感染するとされています。かつては秋から春にかけての流行が中心でしたが、近年は通年で感染報告が見られるようになっています。
特に注意が必要なのは以下のような赤ちゃんです。
- 生後6か月未満の低月齢児
- 早産で生まれた赤ちゃん
- 先天性の心疾患や肺疾患がある赤ちゃん
RSウイルスに対する特効薬は存在せず、感染した場合は対症療法が中心となります。だからこそ、「かかる前に予防する」ことがとても大切です。
📌 当院からのご案内: 妊娠中の感染症予防や赤ちゃんの健康に関するご不安がございましたら、ご相談ください。
RSウイルスワクチン「アブリスボ」とは?
母子免疫の仕組み
アブリスボ(Abrysvo)とは、ファイザー社が開発したRSウイルスに対する組換えワクチンです。2024年1月に日本で薬事承認を受け、同年5月31日から接種が可能となりました。
「母子免疫」という新しい守り方
アブリスボは、妊婦さんご自身に接種することで、お母さんの体内でRSウイルスに対する抗体が作られ、その抗体が胎盤を通じておなかの赤ちゃんに移行するという仕組みのワクチンです。これを「母子免疫(マターナルワクチン)」と呼びます。
赤ちゃんは生まれた時点からRSウイルスに対する抗体を持っているため、最も感染リスクの高い生後6か月頃までの重症化を防ぐ効果が期待できます。
臨床試験(MATISSE試験)で示された効果
アブリスボの有効性は、大規模な国際共同臨床試験(MATISSE試験)で確認されています。
(出典:Kampmann B, et al. N Engl J Med. 2023;388(16):1451-1464./国立感染症研究所資料)
なお、妊娠28週〜36週に接種した場合に、より高い有効性が認められる傾向が報告されています。
⚠️ ご注意: ワクチンの効果には個人差があります。接種により感染を100%防ぐものではありませんが、重症化リスクを大きく低減できることが科学的に示されています。詳しくはご相談ください。
2026年4月からの定期接種化——何が変わる?
大きな変更点:公費負担で原則無料に
2025年11月、厚生労働省の専門部会において、RSウイルスワクチン(アブリスボ)を2026年4月1日から定期接種(B類疾病)とする方針が了承されました。これにより、対象となる妊婦さんは公費負担(原則無料)で接種を受けられるようになります。
これまでの任意接種では自費で約27,000円〜33,000円(税込・診察料別途)の費用負担が必要でしたので、経済的な面でも大きな朗報です。
定期接種の対象・条件
※名古屋市における具体的な実施医療機関や手続き方法は、名古屋市の公式発表をご確認ください。2026年3月頃に詳細が案内される見込みです。
現在妊娠中の方へ——「4月まで待つべき?」
現在妊娠中で、2026年4月1日以前に妊娠28週〜36週を迎える方は、定期接種の対象外となる可能性があります。4月を待っている間に推奨接種期間を過ぎてしまうケースも考えられます。
2026年3月31日までの接種は任意接種(自費)となりますが、赤ちゃんの重症化予防という観点からは、接種時期を逃さないことが大切です。現在妊娠中の方は、かかりつけの産婦人科でご相談ください。
一部の自治体(川崎市・姫路市など)では、定期接種開始前に接種した場合の費用助成制度を設けています。名古屋市では現時点で独自の助成制度は確認されていませんが、今後の発表にご注目ください。
接種のタイミングと具体的な流れ
推奨される接種時期
接種から出産まで14日以上の間隔があることが望ましいとされています。そのため、出産予定日が近い方は早めの接種をご検討ください。
接種の流れ(定期接種化後の想定)
- かかりつけ産婦人科で相談する ── 妊婦健診の際に、RSウイルスワクチン接種について医師に確認します
- 接種可能な医療機関を確認する ── お住まいの自治体(名古屋市)が指定する実施医療機関を確認し、予約します
- 予診票を記入し、接種を受ける ── 妊娠週数の確認後、上腕に1回筋肉内注射を行います
- 母子健康手帳に記録する ── 接種日・ワクチンのロット番号などを「その他の予防接種」欄に記載してもらいます
- 出産後の小児科受診時に手帳を提示する ── 赤ちゃんの診療方針に影響する場合があるため、ワクチン接種歴を伝えましょう
費用について
2026年4月1日以降(定期接種)
原則無料(公費負担)で接種を受けることができます。
名古屋市での具体的な手続きや、接種券の発行方法などは2026年3月頃に案内される見込みです。
副反応とリスクについて——正しく知って、安心して選択を
ワクチン接種に際して、副反応について正しく理解しておくことはとても大切です。山口レディスクリニックでは、メリットだけでなくリスクについても丁寧にご説明することを大切にしています。
主な副反応
MATISSE試験で報告された主な副反応は以下のとおりです。
いずれも一般的なワクチン接種後に見られる反応で、多くの場合は軽度かつ一過性です。他のワクチンと比較しても副反応は比較的マイルドとされています。
接種に際しての注意点
- 接種できない方(禁忌): アブリスボの成分に対して重度のアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こしたことがある方
- 慎重な判断が必要な方: 妊娠高血圧症候群の発症リスクが高い方、免疫不全の方、凝固障害がある方
- 早産に関する報告: 臨床試験では接種後2週間以内の早産リスクについて検討が行われました。現時点では、ワクチン接種と早産の因果関係は確認されていませんが、担当医の判断のもとで接種を受けることが重要です
- ニルセビマブとの関係: 妊娠中にアブリスボを接種した場合、出生後の赤ちゃんへのRSウイルス抗体製剤(ニルセビマブ等)の投与は原則行いません。母子健康手帳に接種記録を残しておくことが大切です
⚠️ 接種後に気になる症状がある場合は、接種を受けた医療機関にご相談ください。定期接種で健康被害が生じた場合は、予防接種法に基づく救済制度の対象となります(任意接種の場合はPMDA=独立行政法人 医薬品医療機器総合機構の救済制度が適用されます)。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. RSウイルスワクチンは本当に安全ですか?
日本産科婦人科学会や日本小児科学会も、アブリスボの有効性と安全性を評価し、接種を推奨しています。大規模な国際共同臨床試験(MATISSE試験)で安全性が確認されており、重篤な副反応の報告は稀です。ただし、すべてのワクチンと同様に副反応の可能性はゼロではありません。ご不安な点はお気軽にご相談ください。
Q2. 名古屋市で接種できる医療機関はどこですか?
2026年4月以降の定期接種は、名古屋市が指定する医療機関で受けることができます。具体的な医療機関リストは2026年3月頃に公表される見込みです。現在(2026年3月以前)に任意接種を希望される場合は、かかりつけの産婦人科にお問い合わせください。
Q3. 2026年4月より前に妊娠36週を超えてしまう場合はどうすればよいですか?
定期接種化を待つと接種推奨期間を過ぎてしまう場合は、自費での接種もご検討ください。費用は約27,000〜33,000円ですが、赤ちゃんの重症化予防という点で大きなメリットがあります。かかりつけの産婦人科医と、ご自身の妊娠週数・出産予定日を踏まえてご相談されることをおすすめいたします。
Q4. 他のワクチン(インフルエンザ、百日咳含有ワクチンなど)と同時に接種できますか?
他のワクチンとの接種間隔について、現時点で特段の規定はありません。ただし、百日咳含有ワクチン(Tdap)との同時接種で百日咳に対する抗体価の上昇がやや小さくなる可能性が添付文書に記載されています。接種のスケジュールについては、担当医にご相談ください。
Q5. 一度RSウイルスワクチンを接種すれば、次の妊娠では不要ですか?
RSウイルスワクチンは妊娠ごとに1回の接種が推奨されています。前回の妊娠時に接種した抗体は時間の経過とともに低下するため、次のお子さまを守るためには改めて接種が必要です。
まとめ:この記事の要点
- RSウイルスワクチン(アブリスボ)は、妊婦さんが接種することで胎盤を通じて赤ちゃんに抗体を届け、生後6か月頃までの重症化を予防する「母子免疫ワクチン」です
- 2026年4月1日から定期接種化され、原則公費負担(無料)で接種できるようになります
- 推奨接種時期は妊娠28週〜36週。接種から出産まで14日以上の間隔があることが望ましいとされています
- 名古屋市における実施医療機関や手続きの詳細は、2026年3月頃に発表される見込みです
- 現在妊娠中で4月以前に推奨時期を迎える方は、自費での接種も含めてかかりつけ医にご相談ください
お気軽にご相談ください
RSウイルスワクチンについて、また妊娠中の健康管理について気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
山口レディスクリニックでは、おひとりおひとりの状況に合わせて、メリットだけでなくリスクについても丁寧にご説明したうえで、一緒に最善の選択を考えてまいります。
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監修:山口一雄(日本生殖医学会認定 生殖医療専門医 / 日本専門医機構認定 産婦人科専門医 / 医学博士)
山口レディスクリニック院長。昭和60年 順天堂大学医学部卒業。名古屋大学医学部付属病院にて不妊症・内分泌の研究に携わり医学博士号取得。産婦人科勤務歴11年、内科勤務歴4年。
免責事項: 本記事の情報は2026年2月25日時点のものです。ワクチンの効果には個人差があり、すべての方に同じ効果を保証するものではありません。接種の可否やタイミングについては、必ず担当医にご相談ください。定期接種に関する制度の詳細は、法令の改正・施行状況や各自治体の方針により変更される可能性があります。最新の情報は名古屋市公式ウェブサイトおよびかかりつけ医療機関にてご確認ください。本記事はお伝えしたいことをAIの補助により整理した上で内容の確認を行なっております。もしお気づきの点がありましたらお知らせくださいませ。
参考文献・出典
- Kampmann B, et al. Bivalent Prefusion F Vaccine in Pregnancy to Prevent RSV Illness in Infants. N Engl J Med. 2023;388(16):1451-1464.
- 日本産科婦人科学会「妊婦の皆さんへ:RSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ筋注用)が接種可能となりました」(2025年9月8日改定版)
- 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会「RSウイルス母子免疫ワクチンに関する考え方」(2024年2月17日)
- 厚生労働省「小児におけるRSウイルス感染症の予防について」(2025年11月19日 厚生科学審議会資料)
- アブリスボ筋注用 添付文書(ファイザー株式会社)
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