不妊症治療の専門医。タイミング法など自然周期から、人工授精・体外受精・顕微授精までの高度生殖医療。不妊症にお悩みの方、不妊治療のご相談は名古屋市南区の山口レディスクリニックへお気軽にどうぞ。

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HMG ゴナールF、レコベル 使用方法

体外受精の調節卵巣刺激に使用する
二つの遺伝子組み換え製剤の
使い分けについて考えてみました。

・ゴナールF
 ハムスターの卵巣細胞をもとに製造
 月経初期の2〜3日目から治療開始して
 体外受精が初回の場合
 開始4日間は最大限225IUを使用し
 5日目からは最大1日につき150IU増量でき
 最大投与量が450IUまで上げられます

 ⇨メリット
 自動車の運転で言い換えますと
 マニュアル運転となり
 体外受精が初回の方、AMHが低い方は
 増減が可能となり
 医師の経験値や専門性が高ければ
 患者さんの採卵日の希望に合わせて
 投与量を調整できますので希望日に合わせやすくなります。

 ⇨デメリット
 自己注射の投与量が日によっては変更するため
 間違えないようにする必要があります。

 ⇨留意点
 450IUまでしか増量できないため
 それよりも量が必要になる方は
 保険適用が難しくなります。
 (自費ですと上限はなくなります)

 但し、レコベルの保険適用は
 12IUまでとされていますので
 レコベルよりは多く投与可能です。

 レコベルの12IUはゴナールFの300IU程度
 7IUは150IU程度と言われています。

・レコベル
 初のヒト由来遺伝子組換えFSH製剤で
 AMHと体重の因子により投与量を決定します。
 自動車の運転で言い換えますと
 オートマチック運転となり
 一度決めた投与量を変えることはできません。

 ⇨メリット
 投与量が自動的に決まり
 増減することはできませんので
 診察する医師が曜日によって変わっても
 投与量の変化がなく、均一的な結果が出やすくなります。
 また、毎日一定の投与量となり
 自己注射の際に間違えにくくなりますので
 体外受精が初回の方には分かりやすいと思います。
 
 ⇨デメリット
 AMHが2以下の方、体重の多い方は
 投与量12IUが上限となりますので
 どうしても投与量が不足してしまい
 採卵までの治療が長引くことになります。
 またオートマチックの運転となり
 医師の裁量により途中で投与量を
 増減することができません。
 
 保険適用の関係上、
 医師が途中で投与量を変更したくとも
 変更することができないため
 患者さんの採卵日の希望に
 添えなかったりすることがあります。

 ⇨留意点
 AMH2以下、30代後半以降の方は
 レコベルの投与量を設定することが難しい場合があります。
 
 AMHは保険適用による検査が半年に1回です。
 半年経過すると30代後半以降の方は
 AMHが0.3程度低下すると言われています。
 過去の検査結果をもとに治療開始するため
 現時点でのAMHを正確に反映していない
 可能性があります。

⚫️まとめ
ヒト由来のものとしてはレコベルの方が良いと思いますが
当クリニックは私一人でほとんど診療しているという点と
患者さんが希望する採卵日に合わせやすい等の観点から

保険適用の方には
ゴナールFを中心に投与しています。

自費の方(卵子凍結含む)には
保険の縛りが無いため他のHMG製剤を併用できますので
レコベルを中心に排卵誘発をしております。

⚫️今後の展望
保険適用の開始以降
保険適用でレコベルと他の製剤の併用、
もしくは途中から変更可能かどうかなど
不明な点が多いため
自費の方にはレコベルを中心に治療していますが
今後、他の製剤との併用変更等が判明しましたら
保険適用の方にもレコベルの使用を増やしていきたいと
考えています。

⚫️HMG 尿由来の出荷調整の状態
現在、出荷調整が長引く、
もしくは無くなる可能性があります
HMGの供給不足および使用方法
の記事をご参考ください