たまには卵巣をお休みさせてみませんか?
しっかりお休みとれてますか?
卵巣を休ませる。少し妙な言葉に聞こえますでしょうか。
はじめて聞いたという方のためにも詳しく説明していきます。
例えば、最近は共働きのご夫婦も珍しくなくなりました。
女性ですと1人目の育児も一段落して再び社会復帰をするなど。
休みもないという方もいるかもしれません。
ただ、いくら多忙でも睡眠を全くとらず働き続ける。
当たり前の話ですが、そんなことは不可能でしょう。
休息があってこそ、しっかり働けるというものです。
では、いきなりですが体内の臓器はどうでしょうか?
今日は心臓がお休みで、胃は有給消化。。。
そんなことはありませんよね。
よくある例えですと休肝日でしょうか。
お酒を飲む方は、飲まずに肝臓を休ませる日を設ける意味ですね。
もちろん休みでも完全に遊んでいるわけではありません。
基本的に、人間が生きている限り彼らは活動を続けています。
人間の仕事にはお休みがありますが、身体の中は基本的にお休みがありません。
ずっと働いている内臓をいたわってあげることと考えてみてください。
あくまで分かりやすくする比喩表現ですので、もちろんうまく休んでいます。
ただ1日中ストップしていることはないということです。
あえて休みが必要になる昔と今の事情の違い
実は、お休みをおすすめする理由として時代の変化があります。
今と昔とで何が違うか。
そのあたりを詳しく触れていきましょう。
現代では昔と比べ初潮がはじまる時期が早くなりました。
また閉経する時期も遅くなってきています。
そして実は妊娠・出産数の減少も大きく関係しています。
少子化という言葉のとおりですね。
昔の兄弟が多い大家族に比べ1人っ子というのも珍しくない時代。
何が関係してくるかというと妊娠・出産。
妊娠・出産期間中は生理がこなくなりますね。
この間はお休みできるということはご存知かもしれません。
では出産後の育児中の授乳期間はどうでしょうか。
基本的にこの期間中は生理はお休みしています。
もちろん期間は個人差はありますが。
この休み期間により、健康を維持できたといっても過言ではありません。
ですから、最近の少子化の中では、初産まで実質子宮と卵巣がお休みすることはありません。
これが最近増加している子宮内膜症の原因となっていることも大いにあります。
卵巣を休ませる具体的な方法とは
では、お休みさせるために何か方法はないでしょうか。
もちろん子どもを産めば良いというお話ではありません。
ではどうすれば良いか。
実は、ある方法を使えば簡単にお休みすることが可能です。
それは、ピルを続けて服用するという方法。
意外だったでしょうか。
その理由はなぜか。
そのわけは、ピルが身体にもたらす効果にあります。
どういうわけかこれから簡単に説明しましょう。
ピルを継続して服用している間は、生理自体はきちんときます。
ただ排卵は抑制されるのです。
そして乱れているホルモンバランスが整います。
妊娠を望まない時は避妊薬として。
またきたる妊娠を望む時には、ピルの服用をやめるだけ。
そうすることで準備万端の状態にすることができます。
もしかしたらピルで不妊症になるのではないか。
という不安も一部の方はお持ちかもしれませんが大丈夫。
むしろ卵巣やホルモンバランスが整い、より妊娠しやすい身体になっているといえます。
昔に比べ、ピルもごく一般的になりましたので誤解はないでしょうか。
卵巣を休ませる必要性とメリット
ではなぜ卵巣を休ませる必要があるのか。
メリットとして、妊娠を望まない時のムダな排卵を抑制*します。
卵巣を掃除するような感覚で、健康な状態にするからです。
* 卵の数が全く減らないというわけではありません
具体例として
20代後半くらいからピル服用を開始し、継続していくとする。
すると卵巣年齢が若い状態がなるべく保たれるようになる。
ムダに浪費させない、疲弊しないといった体力温存のイメージ。
ピルを服用してきた方は何もしてこなかった方と比べ、
卵巣年齢や出産率が高いという報告もあります。
卵の数には限りがある
卵巣と排卵とピルの関係をわかりやすくしてみます。
例えるならば、限りある資源のイメージすると良いのですが。
排卵はもちろん、卵子を排出することですね。
実は卵子の数は限りがあります。ここがミソなのです。
限りある卵を、生理の都度、妊娠する必要がないため排出されます。
卵子の数は、年々減少していっているのです。
例えば、卵子の数を20歳で80としましょう。
そこから年齢が増えるごとに年齢×2を引いていくとします。
この数字が0、つまり卵子が0になった時に妊娠できない。
と考えてみてください。
実際の数とは異なりますが、あくまでイメージとして。
30歳では80-(30×2)=20
35歳では80-(35×2)=10
年々2ずつ減少すると考えてみると良いでしょう。
すると、0になるのは40歳ということになります。
そう考えると分かりやすいかと思います。
もちろん厳密にはこんな簡単な式で表すのは難しいですが。
20歳で40、30歳で半分の20、40歳で0。
あまり焦らせることを申したくないのですが、これが現実です。
ピルを用いた例をもとに
極論ですが、ピルの服用期間の分だけ、卵子の減少を抑えられる*。というお話で。
例えば、20歳時点で10年間ピルを服用したとする。
すると、30歳で20歳の頃と比べて、全く同じ状態ではありませんが、あまり変わらない数をキープできる。
すると、かなり確率が変わってくるのがお分かりになるかと思います。
* 卵の数が全く減らないというわけではありません
もちろん、卵子の数だけが妊娠に関わることではありません。
ですから現実の状況とはあくまで異なるとだけお伝えしておきます。
妊娠や不妊症というものはそんなに単純なものではありませんからね。
ただなるべく自然の状態で妊娠を望みたい。
だからピルはちょっと。そういった意見も聞かれます。
もちろん選択は自由ですから、それでよいでしょう。
しかしながら、生理不順を放置すること、卵巣を働かせすぎること。
こういったことが長年続くことの方が取り返しのつかないことになるかもしれない。
それがピルを服用することにより、安定させることができる。
あくまでひとつの手段として頭の片隅にでもおいていただければ幸いです。
ピルについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
⇒ ピル処方・月経調整について
こちらの記事もよく読まれています(関連記事)
⇒ 体外受精・無料説明会のごあんない(予約受付)
⇒ 不妊相談窓口について、不妊相談を随時行っております
⇒ それって不妊症かも?セルフチェックシート
⇒ 30代女性が不妊治療を行う原因となりやすい病気や疾患ランキング(当院調べ)
⇒ ブライダルチェックと不妊検査の違いについて
< 高齢(35歳以上)の方への不妊治療の選択肢、体外受精の方法>
・「 ランダムスタート法 」
・「 短周期複数採卵法」
・「 採卵プーリング法 」
「 不妊治療 や 妊娠関連に関する 巷に広がる 誤った情報や認識 」 シリーズ
⇒ ” 不妊治療で卵巣機能が若返る、閉経まで妊娠が望めるという誤解 ”
⇒ ” 体外受精すれば何歳でも必ず妊娠できるという誤解 ”
⇒ ” ピルの服用でがんや不妊症になるという誤解 ”
⇒ ” 排卵日・基礎体温の見方に対する誤解 ”
⇒ ” 排卵検査薬に対する誤解 ”