流産した場合の不安を解消する医学的な方法について
流産した場合や、反復着床不全の方の多くは
母体に原因があるとお考えになられて不安になっているケースが多くあります。
そのため、母体の検査を優先される方が多いのですが、
半分以上の方に明らかな原因が見つかりません。
実際には流産内容物で検査すると
流産の原因は胎児側であったと判明することが多いです。
ですので、
まずは胎児の染色体を優先的にお調べいただくことが医学的な観点としては望ましいです。
流産歴がある方(保険適用あり)
・染色体G-banding法
流産歴が無い方(保険適用なし)
・NGS検査
そして胎児に染色体異常があってもなくても
夫婦の染色体を調べるために
採血検査をしてただくことをお勧めします。
検査結果によるその後の流れ
・胎児に染色体異常がある場合
着床前診断、もしくは着床不全検査のどちらを優先するか相談して決定します。
・夫婦に染色体異常がある場合
着床前診断の適用となります。
・胎児、夫婦ともに染色体が正常な場合
母体の検査(不育症検査、TORIO検査等)を施行しましょう。
下記に関連情報を記載しますので、興味がある方は続けて別ページもご参考ください。
また、さらにこのページの下部には医学的専門知識も記載しておりますので、難しいことを書いておりますが、ご興味ある方はご一読ください。
関連ページ、情報
胎児染色体検査 | 当院は2022年春より厚生省の認可を受け保険適用施設となりました。 (社会保険の通知により流産歴の無い方は自費となり、一回でも流産歴がある方が適用となります) 料金の詳細はお問い合わせください。 当院では副作用が少なく、安全性が高いとされている手動真空吸引法(MVA)を使用しています。(保険適応) |
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・夫婦の染色体異常検査
夫婦の染色体検査 (血液) |
各 25,000円 |
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健康な赤ちゃんを産むための染色体異常に関する知識
年齢に関係なく出生児の4%ぐらいは小さいものも含めて何らかの先天異常を持っているとされています。
そして4%中の染色体異常は1%ぐらいです
社会生活を営んでいる方にとっては少なく感じると思いますが
卵子、受精卵、胎児の段階では高頻度に染色体異常が存在し、図のごとく大部分は受精に至らないか、流産してしまって出産できるのはごく一部です(13,18,21トリソミー、ターナー症候群等)
近年、着床前診断の結果により35歳以上で半分以上、40歳以上で3分の2異常は受精卵の染色体に問題があることが判明し、高齢になると妊娠率が低下する理由は染色体異常が原因であることが分かってきました。
出生前の染色体異常についての解説
染色体異常は数の異常と転座に大きく分けられます。
数の異常の分類
正常な状態 | 46XY(男子)、46XX(女子) | |
常染色体の異常 | 一つ染色体が増える | トリソミー |
一つ染色体が少ない | モノソミー | |
性染色体の異常 | 数が多い 例:46XXY、46XYY等 |
トリソミー |
数が少ない 代表的なもの:45XO (ターナー症候群) |
モノソミー |
*合併症が併発しやすく、社会生活が困難な方もいます。
転座
染色体の数は正常であるが、本来の位置と染色体の場所が置き換わっている状態です。
*転座の場合はほとんど合併症はないとされていますので、普通に社会生活を送っている方が多く、検査しないと分からないケースがほとんどですが、妊娠した場合に受精卵に染色体異常が認められることが多々あります。
夫婦の染色体異常の検査に対して
反復着床不全や反復流産のケースでは、健常なご夫婦でも転座が認められるケースがありますので、まずは検査することをお勧めします
染色体を治療する方法はありませんが、まずはカウンセリングを受けていただき、PGT-Aを考慮していただくことになります。