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診療トピックス

卵巣刺激症候群(OHSS)について

どんな状態になっているのですか?

卵巣が腫れて腹水がたまり(最初は卵巣の周囲のみですが、ひどくなるとお腹全体に広がることがあります)進行すると、ごくまれに血液が濃縮して血栓症が起きることがあります。通常の排卵直後や妊娠初期には、少々の卵巣の腫れや腹水はよくあることで、これの極端な状態がOHSSと言います。

原因は何ですか?

女性ホルモン(E2:エストラジオール)が非常に高くなることが原因で、主にHMG-HCGによる排卵誘発(まれにクロミッド)による副作用です。

どういう時やどういう人にOHSSが出現しやすいのですか?

PCO(多嚢胞性卵巣症候群)の人にはこのOHSSが起きやすくなります。他には排卵誘発時に成熟卵胞が10個以上出現した場合によくみられます。また、中枢性無月経の人にも生じやすい傾向にあります。

ご自身での対処方法

安静にすること

可能ならば自宅でいつでも横になれる状態がよく、仕事を休める方は休むことをお薦めします。

毎日、体重と尿量の計測

ある一定の状態・時間で体重を計り、尿コップをお渡ししますのでそれを使って、1日の量を計測して下さい。最小50ml単位で結構です。

飲水制限

毎食時のお茶程度は構いませんが、喉の渇くままに飲水しないで下さい。水分を取ればとるほど腹水がたまってしまいます。少し喉が潤う程度にして下さい。塩分の多い食べ物は、喉が渇くため控えた方がいいでしょう。

これらの結果を基礎体温表に記入して下さい。経過次第では臨時の診察や入院が必要になることもあります。今の状態の進行を防ぐこと、つまりこれ以上の悪化を防ぐことが一番大切なことです。

OHSS時に出現しやすい症状

軽い腹部のつっぱり感
軽度の胃の痛みや吐き気
喉の渇き 等です。

注意してほしい症状

体重が1日で1kg以上増えた時
尿量が1日500ml以下になった時
手のしびれや頭痛が出現した時
痛み止めが欲しいぐらいの腹痛が出現した時
急に腹部の激痛が出現した時
呼吸が苦しくなった時

OHSSが進行しているかどうかを調べる検査は?

OHSSの状態が見られた時、最初に検査する項目はこちらです。

(1) 採血…血液の濃縮の程度を見て、肝機能の炎症の有無などを調べます。
(2)超音波検査…卵巣の大きさや腹水の程度を調べます。
(3)必要ならば、胸のレントゲン写真や血液凝固の検査をします。
(4)OHSS時には2~4日おきに診察の上、必要ならば採血しますので来院して下さい。

どんな治療をするのですか?

強力な治療をして卵巣腫大や腹水を急に治そうとすると「腹水穿刺」「卵巣穿刺」という治療方法になり妊娠継続出来なくなる為お薦め出来ません。合併症(卵巣腫大や腹水など)に対しては穏やかに点滴等で治療する以外にありません。

いつまで続くのですか?

妊娠していない場合は、月経がくると急にこれらの症状は良くなります。一方、妊娠している場合には、さらに2~3週間ぐらい症状が続きます。妊娠しているかどうかは、HCGの注射の翌日(=排卵日/この日を1日目とします)から数えて、18日目以降に妊娠反応を調べると判明します。この事は、もし排卵後の18日目になっても基礎体温表が高くまだOHSSの症状が続きますと妊娠している可能性が高いと言えます。

・治療の結果、妊娠が成立しなかったケース

月経発来後、急激に改善します。

・治療の結果、妊娠が成立したケース

OHSSの状態が現状で2~3週間ぐらい継続することがありますが、 一般的に悪化することはまれです。

軽いもの、中等度のものは、自宅安静など、高度だと入院治療が必要になりますので、気になる方は一度ご来院ください。

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