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人工授精・体外受精-胚移植について

人工授精について

適応

・男性不妊、片側卵管閉塞、頚管因子、長期不妊(タイミング法不成功例)、機能性不妊等で適応します。

方法

・排卵日に専用の培養液により洗浄、濃縮した良好な精子を子宮内に注入し、約10分間の安静後帰宅します。当日の生活の制限は全くありません。

その他

・1回当たりの成功率は10%程度で、トータル4~5回位施行するのが目安と考え、最初の1~2周期は自然周期で行ない、その後は原則として、排卵誘発剤(内服薬や注射)を用いた過排卵周期で施行します。

 

体外受精胚移植を受けられる方へ

はじめに

体外受精胚移植(IVF-ET)は、当初卵管のない人のための治療法でしたが、現在では高度の男性不妊症や難治性不妊症等の治療の一つになっており、不妊治療の中でも最終的な治療として位置づけられています。

方法

卵子と精子を取り出し、体外で受精させ、培養した受精卵(=胚)を子宮内へ移植します。

手順

実際に行う手順は以下の通りです。

 

①排卵誘発 ⇒②採卵・媒精 ⇒③受精卵の培養 ⇒④受精卵凍結
⇒⑤融解胚移植(⑤´新鮮胚移植) ⇒⑥ホルモン補充 ⇒⑦妊娠判定

 

①排卵誘発

生理2、3日目に来院して頂きます。
通常、自然排卵では卵胞(卵子の入った袋)が1個のみ発育します。しかし、排卵誘発では、卵胞を複数育てるために、飲み薬(クロミッド、セロフェン等)やHMG注射による卵巣刺激を開始します。刺激方法はクロミッド法、アンタゴニスト法、ショート法、ロング法があります。どの方法で行うかは医師やスタッフと相談して決めます。
各方法の比較は以下の通りです。

刺激方法 通院頻度 排卵誘発費用 平均発育

卵胞数

対象の人 メリット デメリット
クロミッド  

2日に1回

~毎日

 

約7万~ 約3~6個 ・AMH*1が低い

・高齢

・卵巣の反応性が低下

・毎日通院できない

・OHSSになりやすい

・注射が少ない

・費用が少ない

・通院が少ない

・OHSSになりにくい

・採卵数が少ない

・来院時間の指定ある場合あり

 

アンタゴニスト

 

原則、毎日 約9万~ 約7~10個 ・多嚢胞性卵巣*2

・OHSS*3になりやすい

・クロミッドで採卵率低い

・発育卵胞が多い

・OHSSになりにくい

・来院時間の指定ある場合あり
ショート 原則、毎日 約9万~ 約7~10個 ・卵巣の反応性が低下 ・発育卵胞が多い ・OHSSになりやすい
 

ロング

 

原則、毎日 約9万~ 約7~10個 ・35才以下

 

・発育卵胞が多い

・卵胞が均等に育ちやすい

・OHSSになりやすい

・HMG注射が多い

*1…AMH(抗ミュラー管ホルモン)
卵巣予備能(卵巣年齢)を示すものです。数値が高いほど、卵子がたくさんある状態です。
*2…多嚢胞性卵巣
卵巣内に、小卵胞がたくさんある状態です。
*3…OHSS(卵巣過剰刺激症候群)
卵巣やお腹の中に水がたまった状態です。腹痛、お腹の張り、吐き気等の症状がでます。

 

②採卵・媒精

卵胞に針を刺して、卵子を採取(=採卵)します。
採卵は、軽い麻酔(静脈麻酔)をかけ、眠っている間に行います。手術時間は約5~30分です。
採卵後、3~4時間は安静にして頂き、その後に帰宅となります。

採取した卵子は、4~5時間培養した後に、媒精(体外受精・顕微授精)を行います。
通常は、体外受精(卵子の入った容器に精子をふりかける)を行いますが、高度の男性不妊の方、体外受精で低受精率の方、抗精子抗体陽性の方等は、顕微授精(直接、卵に精子を1匹注入する)により受精させます。そして、翌日の朝に受精の有無を確認します。その受精結果の連絡は、原則電話(12:00頃)で行います。採卵2日後に、診察と受精卵の説明のため来院して頂きます。

 

<注意点>
*排卵する直前のタイミングで卵子を採取しますので、決められた時間(朝8時半頃)に来院してください。
*来院時に、精子と費用(採卵・媒精・培養・顕微授精代)を持ってきてください。
*麻酔をかけると嘔吐する事があり、窒息の危険が伴うため、朝は飲食しないでください。
*発育卵胞数が3個以下の場合は、麻酔をかけず、鎮痛剤等のみで採卵を行うこともできます。
*採卵後は、1~2時間経って水分を摂り、吐き気が無いことを確認した後に、食事を摂ることをお勧めします。
*帰宅後は、外出せず自宅でゆっくりお過ごしください。
*抗生剤が処方されるので必ず服用してください。
*採卵当日は、自動車・自転車の運転はできません。

 

③受精卵の培養

受精卵は通常、下図のような発育をします。 (発育スピードや質等は個体差があります。)

illustguide
採卵後1日目で正常受精した卵のうち、90%以上が2日目の4分割卵まで発育します。
その後は、途中で発育停止になる受精卵がでてくるため、5~7日目の胚盤胞へ到達する卵は、2日目の4分割卵のうち50%程度(個人差があります)となります。そのため、卵胞の数が多ければ多いほど、採取できる卵子の数も多くなり、妊娠する確率も高くなります。
胚盤胞は、その後孵化して、子宮内膜と接着(=着床)し、妊娠成立となります。

受精卵は、2日目の4分割卵と胚盤胞において、評価(=グレード)をつけます。
2日目の受精卵では、グレード1が最も良い(割球が均等で、細胞の断片がない)受精卵です。グレード5になるほど、悪い(割球が不均等で、細胞の断片が多い)受精卵です。グレードが良いほど妊娠率は高くなります。

胚盤胞では、「発育ステージ」「ICM」「TE」の3つで評価します。
◆ 発育ステージ…1~6まであり、胚盤胞がどの段階にあるかを示しています。原則、ステージ3~5で凍結します。
◆ ICM…将来、胎児になる細胞で、Aが最も良い評価です。
◆ TE…将来、胎盤になる細胞で、Aが最も良い評価です。
これら3つを組み合わせて、図3の例のように「4AB」という表記をします。
3BB以上が、グレードが良い胚盤胞で、妊娠率は高くなります。

 

④受精卵凍結

受精卵は、卵細胞内の水分を抜いてから、液体窒素で凍結します。
そのようにして凍結した受精卵(凍結卵)は、液体窒素中で半永久的に保存が可能です。
採卵2日後の説明時に、凍結時期や個数について、医師やスタッフと相談し、決定します。
通常、胚盤胞か2日目の4分割卵で凍結し、採卵の翌周期以降に移植します。

<注意点>
*採卵翌周期以降は、自然に近いホルモン値になり、子宮内膜の環境は良い状態といえます。そのため、全部の受精卵を凍結して、その良い状態の時に融解胚移植することが多くなっています。
*凍結により、受精卵が傷害される確率は数%で、ほとんどの受精卵が元の状態に戻ります。

 

⑤融解胚移植

凍結卵を融かして(=融解)、移植をします。
2日目の凍結卵を移植する場合は、排卵日から2日目に凍結卵を融解して、同日に移植をします。
胚盤胞を移植する場合は、排卵日から5日目に胚盤胞を融解して、同日に移植をします。
なお、排卵がない場合でも、融解胚移植は可能です。
その手順は、生理中からエストロゲン製剤(貼り薬・飲み薬・注射等)の使用を開始して、子宮内膜の厚さが、自然排卵と同じ8mm以上になるまで続けます。子宮内膜が8mm以上になったら、ホルモン採血をします。ホルモン値が良ければ、「仮の」排卵日を決定し、上述と同じ様に移植をします。

 

<注意点>
*移植する胚の数は、原則1個です。ただし、35歳以上の方や、2回以上続けて妊娠不成立だった方は2個まで移植できます。
*移植時間は、以下から選んで頂きます。
・12:30(午前診療の終了後)  ・16:20(午後の診療開始前)  ・19:00(午後診療の終了後)
土曜日は、13:00のみ、水曜日は、12:30のみとなります。 原則、各時間に1名となりますので、希望に添えない場合があります。
また、診療終了後に行う場合は、お待ち頂くことがあります。
*当日午前11時頃に、移植確認の電話をお願いします。
*来院時に、胚移植費用をお支払いください。
*来院後に、薬を服用して頂きます。(安定剤…1錠  子宮収縮抑制剤…1錠)
*移植時間は、約10分です。移植後は、20分程安静にした後、帰宅できます。
*移植当日は、自動車・自転車の運転はできません。
*移植翌日からの生活に制限はありません。普段通りにお過ごしください。

 

⑤´新鮮胚移植

採卵2日目、または、5日目に移植(=新鮮胚移植)することも可能です。
新鮮胚移植は、以下の条件を満たす場合に限ります。
◆ 発育卵胞数が少ない
◆ 採卵時のホルモン値が低い
◆ 採卵時の子宮内膜が8mm以上
◆ OHSSになる可能性が低い
◆ 採卵2日前の黄体ホルモン値が2.0ng/ml以下

 

<注意点>
*採卵後は、強力な排卵誘発により、ホルモン値が非常に高くなっています。それは、受精卵が発育する卵管や、受精卵が着床する子宮内膜の環境が良くない状態です。その状態で新鮮胚移植をした場合、妊娠しづらいだけでなく、OHSSになる可能性も高くなります。
*その他の注意点は、融解胚移植と同じです。

 

⑥ホルモン補充

胚移植後は、妊娠しやすい子宮内膜環境にするため、飲み薬・注射・貼り薬等によるホルモン補充をします。必ず医師の指示通りに服用、または、来院してください。
妊娠成立した場合は、妊娠10週頃まで、ホルモン補充を行います。

 

⑦妊娠判定

排卵日から約20日目頃に、妊娠判定のため尿検査を行います。
妊娠していない場合は生理が来ます。

 

費用

体外受精の費用は原則自費で、現金払いのみとなります。クレジットカードは使えません。
排卵誘発にかかる費用は、毎回受付にてお支払い頂きます。
その他、以下の費用は、お伝えした日にまとめてお支払い頂きます。

1)採卵手術の費用…10万円
2)媒精・培養の費用…5万円
3)胚移植費用…5万円《休日=6万円》
4)長期培養(=3日目から胚盤胞まで培養)費用…3万円(個数関係なく)
5)融解費用…5万円
6)顕微授精費用…6万円
※ 体外受精では、受精率ゼロ、または、低受精率(受精が20%以下)の方が15~20%にみられ、そのような受精障害を防ぐために、初回の方に限り、6個以上採卵できた場合は、体外受精と顕微授精の両方を行うこともできます。
顕微授精3個以下…4万円
顕微授精4個以上…6万円
7)精子凍結費用(保存代1年分込)…2万円
8)受精卵凍結費用…3.5万~
9)卵子凍結費用…5.5万~ ※8)、9)は下表参照

 

 

 

①基本費用*1

(休日含む場合は+5000円)

②クライオトップ*2

費用

(1本5000円)

 

 

 

 

受精卵

1回で凍結 3万円 5000円×本数 2日目の受精卵2個をクライオトップ1本で凍結した場合

①3万円+②0.5万(1本)=合計3.5万円

2回で凍結 5万円 2日目と5日目(休日)の受精卵をそれぞれ1個ずつ凍結した場合

①5.5万円+②1万円(2本)=合計6.5万円

3~4回で凍結 6万円 2日目の受精卵2個をクライオトップ1本で凍結し、

5日目と6日目の受精卵をそれぞれ1個ずつ凍結した場合

①6万円+②1.5万円(3本)=合計7.5万円

 

卵子の凍結

 

5万円

10個の卵子をクライオトップ4本(1本に最大3個ずつ)で凍結した場合

①5万円+②2万円(4本)=合計7万円

*1 基本費用には、凍結保存代1年分が含まれています。
*2 クライオトップは卵を凍結する容器です。1本につき受精卵は2個まで(卵子は3個まで)凍結できます。

<注意点>
*クライオトップに何個ずつ凍結するかは、受精卵の状態、年齢、治療歴等によって判断させて頂きます。
*受精卵と卵子の凍結保存代は、1年ごとに2万円、精子の凍結保存代は、1年ごとに1万円です。凍結から1年経つ時にハガキでお知らせしますので、凍結の延長、または、破棄をお申し出ください。
*体外受精に関する費用は予告なく変更となる場合があります。

 

実績

当院の実績は、以下の通りです。 (2014年までの実績)
◆ 発育卵胞数あたりの採卵数(採卵率)…約60~80%
◆ 体外受精の受精率…約60~70%
◆ 顕微授精の受精率…約70~80%
◆ 胚移植あたりの妊娠率…約30%
◆ 胚移植後に出産できる生産率…約20%
◆ 流産率…約20~30%
*上記は全て個人差があります。

 

安全性およびリスク

◆ 強力な排卵誘発により、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)になる可能性があります。
◆ 採卵後に、腹痛、出血、発熱がみられる事があります。
◆ 移植胚数により多胎になることもあります。
◆ 出生児の奇形、身体的発育、精神運動機能等に関しては、通常の出生児と比べて顕著な差はないと言われています。しかし、体外受精の歴史はまだ浅く、長期予後を含め判明していない点もあります。
◆ 父親が男性不妊症の場合、男児がその遺伝的因子を引き継ぐ可能性が報告されていますが、現段階では、十分に詳細は解明されておりません。
◆ 院内感染防止のため、1年に1回、ご夫婦に感染症検査(B型肝炎・C型肝炎・梅毒・HIV)を受けて頂きます。(費用は1人2000円~4000円)

 

助成金

現在、不妊治療については健康保険が適用されておりません。
そのため、不妊治療の費用は、治療を受ける人にとっては大きな負担となっております。
そこで、各自治体では、不妊治療費の助成を行う自治体が増えてきています。
各自治体で定めている助成の条件(*)に該当する場合、全額ではない場合が多いのですが、不妊治療費の助成を受ける事ができます。

*各自治体で、助成金の金額や条件、申請方法が異なります。
詳しくは、お住まいの市区町村を管轄する保健所、または市区町村役場へお問い合わせください。

不妊治療の助成金制度についてのごあんないページ

 

 

体外受精-胚移植について

適応

・高度の男性不妊、両側卵管閉塞、子宮内膜症、子宮筋腫、機能性不妊、長期不妊(AIH反復不成功例)、抗精子抗体陽性例等で適応します。

手順

・(1)排卵誘発、(2)採卵、(3)媒精、(4)胚移植、(5)黄体サポートからなります。

(1)排卵誘発方法 自然周期:自然排卵で採卵しますので、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)は有り得ませんが、受精卵は最大1個です。
クロミッド周期:副作用は少なく、手軽にできますが、受精卵は平均2~3個です。35才以上でhMGの反応の悪い方に適しています。
hMG周期:連日の注射があり、副作用の頻度も20%以上ありますが、多くの卵が得られますので、妊娠率が最も高い方法です。
(2)採卵 前々日の20時半頃hCGの注射をし、約36時間後の朝8時半頃より静脈麻酔(局所麻酔)下にて施行し、昼頃帰宅しますので、入院の必要はありません。
(3)媒精 採取した卵を前培養後、処理した良好な精子と、昼過ぎにシャーレ内で一緒にし、翌朝、受精の有無を確認します。
(4)胚移植 採卵から2~3日後に、2個以内の受精卵を子宮に戻し、約30分間安静にした後帰宅します。帰宅後の生活の制限は特にありません。
(5)黄体サポート 胚移植後にhCG注射や黄体ホルモン剤、膣坐薬、注射等をOHSSの有無等により、症例毎に使い分けて使用します。

顕微授精

通常の媒精法で受精しない例や、極度の男性不妊の方が適応となり、卵の細胞質内に、一匹の精子を顕微鏡下に注入する方法で、高い受精率が期待できます。

全体の妊娠率は30%前後で、4周期位まで施行するのが目安とされています。反復不成功例には、長期培養による胚盤胞移植や二段階胚移植などの方法もあり、個人個人により適応が異なりますので、よく相談の上、次回の方針を決定します。また、余剰卵は凍結保存を施行し随時、融解胚移植が可能です。

左から1日目、2日目、3日目、5日目の受精卵の写真です

体外受精の流れ(ショート法)

illustguide

 

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